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2017年3月18日

マクラーレン、騒ぎすぎ?!


マクラーレン-フェイス.jpg[STINGER]のフェイスブックメンバーページに寄せられたコラージュ。エンジン部分がメルセデスになっているということで炎上し、数時間で削除された。出展は、マクラーレンの公式フェイスブックアカウントという驚きの事態?! 



開幕のオーストラリアGPまで1週間と迫った3月17日、マクラーレン・ホンダの周辺が喧しい。というか、マクラーレンが言いたい放題過ぎる? マクラーレンの公式アカウントのフェイスブックに、コラージュ写真がアップされて話題になった。

たしかにホンダのパワーユニットは、8日間のテストで酷い状況だった。けれど、それとこれとは別の話だ。ネットに新旧融合というマシンのイラストを公式サイトが掲載し、"メルセデスに鞍替えか"というニュースが流れた直後だっただけに炎上すると、数時間で削除して知らん顔というなんともF1クォリティとは言えない醜態をマクラーレンが見せている。

マクラーレンがこのタイミングで、メルセデスと交渉をしていることを明かしたり、面白おかしいイラストを公開する意味がまるでわからない。ホンダは毅然とした態度で抗議すべきだろう。

とはいえ、高度な闘いを勝ち抜くには、車体とエンジンの関係は、一心同体でなければならない。お互いを罵ったり茶化したりしている場合か、いとうことだ。まして、マクラーレンには、ホンダから多額といわれる活動資金が提供されているのだから、何をかいわんやだ。

一方で、一連の情報のどれが正しいか判断することも必要だ。例えば、フェルナンド・アロンソは、スペインメディアを使って、本心を伝えているが、その"本心"は、ホンダをこき下ろしたいのではなく、いい仕事をしてほしいからであることに着目したい。一昨年の鈴鹿で、エンジンパワーのなさからストレートで後続にあっさりと抜かれた時に、パワー不足を表して「ジーピーツー!!」と叫んだ時も、ホンダの地元の本国で、上層部に実態を直接伝えたかったからに違いない。

海外、特にマクラーレンの本拠地であるイギリスメディアに踊らされてヤキモキするのはそろそろ終わりにしたいところだが、結論としてホンダの今後をどうとらえるかには二つの方法がある。

1)現状からしてダメと決めつける
最も簡単で説得力があると思えるのはこの方法だ。現在出ているトラブルがハードの問題だとすると、通常、次のパーツが完成してマクラーレンに届くのは最低でも2カ月が必要だ。問題箇所のデータを分析し、それを盛り込んだ設計を行ない、製作して確認テストを行ない、検討して走行し、実践に投入するまでの時間である。

とすると、3月上旬に出たトラブルが解決するのは早くて5月、マトモに走るのはスペインGP頃以降までになる。だから開幕戦ではテストと同じく壊滅的状況にちがいない、というもっともらしい意見。

2)並行開発を信じる
期待したいのはこの方法だ。F1の開発になぜ金がかかるのかといえば、それは、高価な素材を単発で作っているからだけではない。要するに、ひとつだけを開発しているのではなく並行してあらゆる可能性を見込んだ作業が行なわれている。要は、無駄になる可能性も含めて開発が行なわれている、だから金がかかる、ということだ。

年間の開発をコントロールするために配られるトークンをどう使うかの話を、昨年、長谷川祐介F1プロジェクト総責任者にインタビューした時に、いわゆる開発が、並行して何件も行なわれているという当然の事実を改めて確認できた。

トークンは制限があるから無駄撃ちはできない。ではどうするかといえば、想定できるすべての開発を並行して進めておいて、いざトークンを支払う段階で、最終的に絞り込んだテーマを投入する。常識では考えられないレベルでF1の開発は進められるのだ。

今年のホンダは、パワーユニットを、メルセデスに追いつくどころか、追い越す目標設定で作っていたに違いない。だから壊れたのだが、目標設定が若干抑え目のタマも用意しているはず、ということだ。つまり、製造の段階を終えたタマがスタンバっているはずで、それを投入するなら、2カ月よりはるかに短い時間で実戦投入が可能になる。

連戦連勝を続けた第二期ホンダF1時代に、確かベルガーだったと思うが、日曜日のレース後のミーティングで出たハードの不具合が、次のレースまでの用意されたで驚いた、とコメントしたことがある。ベルガーは、ゼロから10日ほどで、と思って驚いたのだろうけれど、実は、製造工程を終えていたパーツが、準備されていた。ならば、驚くスピードも可能になる。

いずれにしても、現状のマクラーレン・ホンダが厳しい試練の場にいることは間違いない。マクラーレンもホンダも、レベルの高い闘いの中でもがいている。逆に言えば、それくらい高い目標に向けて闘っている日本のホンダであることを踏まえて、情報を吟味しておきたい。

もちろん、F1はそうそう簡単に行く世界ではなく、すぐさまテストの体たらくを改善できはしないけれど、そのことを頭に入れながら開幕戦を待ちたいと思う。

[STINGER]山口正己
photo by [STINGER]

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